2019年08月14日

フェレットの副腎腫瘍

~フェレットちゃんの副腎腫瘍~

副腎とは、お腹の中・腎臓のすぐ近くに左右1つずつある数ミリ程度の小さな臓器ですが、
複数の非常に重要なホルモンを分泌するとても大事な臓器です。
フェレットちゃんの場合、その副腎が腫瘍化しやすく、非常に高率で副腎腫瘍が見つかります。

<診断>
脱毛が最初にみられることが多く、
その原因を探っていくうちに副腎腫瘍が見つかることが一般的です。

またオスの場合、前立腺肥大による血尿や排尿障害が見られたり、
女の子の場合には外陰部の腫れが見られ、
そこから副腎疾患が見つかることもあります。

診断の流れとしては、症状⇒超音波検査⇒仮診断、となります。
(確実な診断のためには副腎を摘出して病理組織検査を行う事が必要になります)
血液検査やレントゲン検査は診断の補助や他の病気の有無の確認・除外に必要となります。
血液検査でホルモンの状態を確認することもありますが、
診断に必須ではないため、当院ではあまり積極的にホルモン検査は行っていません。
副腎腫瘍には良性と悪性がありますが、
それらの区別には副腎を摘出しての病理組織検査が必要になります。


尾の脱毛
尾の脱毛



<治療>
治療は大きく分けて内科的な治療(薬での治療)と外科治療(手術での摘出)に分けられます。 

症状が脱毛だけであればメラトニンというサプリメントを使用することがあります。
メラトニンだけでも十分な発毛が見られることもありますが、
副腎腫瘍自体を治療しているわけではないため、副腎腫瘍は徐々に進行していくことが一般的です。
しかし副作用がほとんど無い薬剤(サプリメント)なので、
手術が困難なフェレットの子や高齢で積極的な治療が難しいフェレットの子などには使いやすく薬です。

またリュープロレリン(リュープリン)という注射をすることもあります。
月に1回程度の注射に通ってもらい、効果を見ながら徐々に注射の間隔を空けていくことになります。
比較的効果が出やすく、外陰部の腫れなども治まることがありますが、
こちらも副腎腫瘍の進行を抑える薬ではありません。


手術での副腎の摘出が、副腎腫瘍に対する根本的な治療となります。
根治が狙える半面、
悪性腫瘍の場合、再発・転移のリスクがあること、
そもそも転移している場合には手術が困難になることもあります。
また、とくに右側の副腎は周囲の大きな血管にくっついていたり腫瘍が血管内に侵入していることがあるため、
手術で完全な摘出ができないこともあります。
さらに両側の副腎に異常がある場合には、両側の副腎摘出はできないこと、
腫瘍化している副腎を摘出しても、残っている正常な副腎が将来腫瘍化する可能性があります。

当院では、高齢の場合や併発疾患があり手術ができない場合には、
上記のメラトニンやリュープリン注射での治療を選択することが多く、
手術で根治が狙える場合には、副腎の摘出をお薦めしています。

副腎(手術中の確認)
フェレットの副腎腫瘍

摘出中の副腎(1cm程の大きさ)
フェレットの副腎腫瘍


摘出した副腎。
副腎皮質腺癌という悪性腫瘍。
摘出した副腎




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Posted by 駿河どうぶつの病院 at 13:47│Comments(0)フェレットの病気副腎腫瘍内分泌疾患
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